素朴さと高尚さと
とても素朴で、自然界そのもののやさしい帯です。そこに、高尚さと奥ゆかしさを兼ね備えたこちらの帯は、まさにお茶向きな帯とも言えます。お茶の先生が、こんな帯をされていらっしゃったら、後ろ姿を、しげしげと眺めてしまいますね。話題もつきないことでしょう
【ムガシルク・手織り・櫛織・寄せ木細工】
①【素材 穏やかな金色】
一見すると、金箔のような帯ですが、染めは施されず、金箔も用いていません。
繭自身の素朴さながら、慎ましい金色(こんじき)は、繭本来のお色。こちらは、ご存知の方は良くご存知のムガシルクの糸で織られた帯になります。
見るからに、金箔の豪華絢爛さとは異なるゴールドは、どこか、やさしく控えめで、これは野蚕本来の自然界に育てられたお色だからです。
ですが、ムガシルクだけではこの雰囲気にはなりません。もう少し素朴さに傾くかもしれません。それを、さらに高尚さに昇華させているのは、櫛織りという風情たっぷりな織り方がされているからです。
②【手織りの中でも・・】
ムガの糸を、手織りの櫛織(くしおり)と呼ばれる技法で織りあげています。
優雅な波のような揺らぎが、軽やかで、リズムを作り出す風情を作ります。
この波のような繊細な織りが、ムガの放つ光を、一層、独特で、人の目を引く、高尚な光へと昇華します。
そして、見せ場は、お太鼓。
③【伝統工芸品を織り込んで】
お太鼓柄には、「寄席木細工」を「箔」にして織り込んでいます。
きらびやかな、金銀、螺鈿などとは異なり、素材は素朴な「木」。
緻密に細工した伝統工芸品を「箔」にしてお太鼓に織り込むという趣向。
ただものではない感じが、漂いますね。
こだわり見せ場がたくさんの帯ですが、力みや頑張った感のない、どこか、自然体な風情で心が落ち着くのは、自然そのものを用いているからでしょう。
・
何とも深みのある、どこまでも奥行のあるこんな風情のある帯って、なかなかお見かけしません。お茶向きですが、幅広くお使いいただける、素敵な帯です。プライベートにももちろん。自然体な風情をまといます。
・
④【着心地のこと】
しかも、これが、またとても軽いのです。長時間帯を締めていても、心地よい軽やかさ。せっかくのこの軽やかさ。帯芯をきちんと選んでお仕立てしたいものです。
・
※お持ちの着物に合うかだろうか・というときは、お写真をお送りくださって、お答えさせていただいております。お気兼ねなくお聞きくださいませ。
・【ムガシルクとは】
インドのアッサム地方に生息する野蚕で、その高貴なお色からマハラジャなど高貴な身分の方の衣装として使用されてきた糸になります。
お写真の最後に、通常の白い繭と比較してムガシルクの繭とその糸のお写真をのせましたので、ご覧なってみてくださいませ。糸は、繭そのままのお色であることがお分かりいただけるかと存じます。
・【柄のこと ー鱗文様に紗綾型】
魔は、背中から魔が入るもの。女性のお太鼓は魔除けの意味を持ちます。
そのお太鼓には、鱗でまさに魔除け。
この三角文は、鱗文と呼ばれ、銅鐸や土器にもみられるほど古い文様です。病魔を排する呪性を持つものとして信じられていたそうです。厄除け、魔よけのまじないとして今に伝えられています。
・【前の柄】
お写真最後2枚が前の柄です。鱗文が一つ見えるようになっています。
櫛織による波は縦に入ります。
その鱗文の中には、紗綾型。
紗綾型は、卍をひし形に変形して複雑につなぎ合わせたものになります。卍は元来梵字で、吉祥のシンボルとされています。
🎍来年は、ちょうど「蛇年」ですね。
鱗文は、魚や蛇のうろこに見立てて鱗文とよばれていること、また、魔除け、吉祥を表す金色いろ。新しい年を迎えるのにふさわしい帯になりますよ。
素朴さと高尚さ お茶向き 袋帯
〇お仕立て無でもお送りいたします。
〇お仕立て代(芯代別) ¥11,000ー
〇芯は、お好みをお聞きして選んでいきます。素材によりお値段が変わります。